【自然養鶏的な鶏の飼い方】小さな卵屋さんが教えます。
自然養鶏で300羽程度の小さな卵屋さんを営んでおります。そんな卵屋さんが、基本的な鶏の飼い方を解説していきます。初生雛から平飼い育雛するやり方や、 餌の作り方、 成鶏になって卵を産むまでを紹介していきます。
この記事を見てくれている方は、庭先で鶏を飼ってみたいとか、自然養鶏を始めて見たいとか、そういった人たちの参考にしていただければと思って、書いています。商業的な養鶏法でなく、鶏が元気に健康に育つことを第一に考えて、鶏さんを飼育していきます^^
小さな養鶏屋さんの鶏の飼い方の一例ですが、少しでも参考にしていただけたら幸いです。
鶏の飼い方。
庭先で鶏を飼うならば、自然卵養鶏法というものを参考にすることをお勧めします。私が行っている鶏の飼い方も、自然卵養鶏法を基本として行っております。
自然卵養鶏の主な特徴。
・平飼い‥‥一坪に10羽までの薄飼い。密飼いは、病気の元。広い空間でノビノビ育ててあげます。
・四方解放鶏舎‥‥太陽の光、風、外の空気の循環。
・粗飼料や発酵飼料‥‥ろん農園では、国産の飼料を自家配合しています。
・緑餌を多給。自然からのビタミン、食物繊維で、健康に。
・添加物、保存料等を使わない。
・腹八分給餌、八分目産卵 。⇒卵を産ませるだけのマシーンではないので、ゆっくり成長させて、無理させずに自然のペースで、卵を産ませてあげます。
自然卵養鶏法で有名な中島正さんの飼育法を基本としながらも、有機農業研修の経験や自分の考えを交えながら、色々と工夫してやっています。以下、ろん農園での、自然養鶏の育て方を紹介していきます。
平飼い育雛。
バタリーというカゴに小分けして育てるのが、主流ですが、ろん農園では平飼い育雛という方法を採用しています。広々とした空間でノビノビ元気に育てていきます。
産まれたての初生雛から飼育していきます。ろん農園では自然のリズムに合わせて、春の3月くらいから、スタートしています。現在飼っている品種は、ボリスブラウン。
産まれてすぐは、保温する必要があるので、電球をつけて保温しながらの飼育となります。
最初の5日間は主に、玄米を与えています。 ろん農園で収穫した無農薬、無化学肥料栽培、天日干しのお米です。これで、同じ釜の飯を食う仲間!!(笑)
一般的な養鶏場では、消化の良いチックフードが与えられますが、自然卵養鶏では、最初から玄米を与え、鶏の消化能力を鍛えさせて、何でもよく食べる鶏に仕上げていきます。生まれてすぐのこの時期に食べるものによって、消化能力は大きく変わるそうです。
その後、徐々に成鶏用の餌に慣らしていきます。
毛がもふもふで、超かわいい。
左のノレンの奥が電球で保温している育雛箱で、右側が運動場。最初はこのように囲ってあげて、日とともに徐々に広くしていきます。
ノレンをくぐって、運動場へGO!!
順調に育っているようなので、運動場の囲いも外してあげます。(ちょうど2週間目くらい)
こんな感じに。
広々とした鶏舎で、好きな所へ自由に動き、気持ちいい所を探して日向ぼっこしたり。
平飼い育雛で小さなカゴに入れられることなく、地面をアチコチ自由に走り回りながら、スクスク元気に健康に育てています^^
また、ヒナの頃から緑餌(自然の草)なども与え、草もよく食べてくれる鶏に育て上げていきます。
写真は、たまたま畑で採れたトウがたった白菜をあげた所です。
しばらくすると、こんな感じに。
硬い茎の部分以外、綺麗に食べてくれました。
膝乗りヒナ。
手乗りヒナ。
身体も一回り大きくなり、段々と茶色っぽく大人の羽に変わってきました。
5月くらいはこんな感じ。赤いトサカも少し生えかけてきています。
9月くらいになると、もう立派な大人で、卵も産み始めてくれます。
立派なトサカが生えて凛々しい出で立ちに。
ヒナの育雛の詳細は、別の記事で紹介しています⇒鶏の飼い方~ひよこ編【自然養鶏で、ノビノビと元気に育てる】
鶏の飼い方【餌など】
これが、メインで与えている発酵飼料。
原料は、小麦、米糠、大豆(水に半日浸してから)、魚粉、もみ殻、牡蠣殻、炭カル、リンカルなどを使っています。
松阪産の小麦を中心に、国産飼料を自家配合しています。無添加、無着色、余計なものは何も入れていません。
これらの飼料に適量、井戸水を加え、よく撹拌してあげたら、数日置いて、発酵させてから与えています。
発酵させた餌は、ホッカホカの30度越え。
この発酵飼料が、美味しい卵の源です。
詳細はこちらの記事で紹介しています⇒鶏の発酵飼料の作り方~自然養鶏法で飼っています~
発酵飼料とは別に、毎日緑餌も与えています。
押切で細かく細断して、食べやすいようにしてあげています。
この緑餌が、鶏さんに必要な食物繊維、ミネラルの補給となり、免疫力を高めたりしてくれます。
また卵の黄身の色をほのかに黄色くさせてくれるのも、この緑餌の影響だと思います。(草が少なくなる冬は、若干黄身の色が薄くなります。)
餌に、着色させる色素を与えていないので、卵の黄身の色は市販の卵のように濃くなく、ナチュラルなタンポポ色に。
草が少なくなる冬場には、夏の間に仕込んでおいたコーンサイレージを緑餌の代わりに与えています。コーンサイレージとは、トウモロコシを茎葉ごと、つまり丸ごと細断したものを樽に詰め込み、嫌気発酵させた保存食の事で、簡単にいうと緑餌の漬物のようなものです。
詳しくは、こちらで紹介しています⇒【鶏用】コーンサイレージの作り方。
朝、昼とくみ立ての新鮮な井戸水を与えています。
右の箱は、牡蠣殻や小石などが入っていて、いつでも自由に食べられるようになっています。
牡蠣殻は、卵の殻を作るためのカルシウムになったり、小石は砂肝の中に蓄えて、食べたものを砕いたりするために役立ちます。
小石は、DIYで井戸掘りをした時に、地下4~8Mくらいから出てきた砂利をフルイにかけて分けて自給してみました。
ろん農園の卵の卸先。
- 自然食品・有機米店【かねこや】・・・体に優しい食品を多数扱っています^^ろん農園の卵は、毎週火曜の朝に出荷。松阪駅前の通りにあります。 松阪市新町830
- 松阪農業公園ベルファーム・・・松阪インター前にある大きな直売所です。松阪市伊勢寺町551-3
- きっする黒部・・・国道23号線バイパス沿いの大きな直売所です。 松阪市東黒部町天神1
- 旬前公房ごん豆・・・権現前にある直売所、お惣菜なんかも売っています。松阪市嬉野権現前町390-6
- あじ横産直市場・・・県道37号線沿いのあじへい横にある直売所です。三重県伊勢市上地町2561‐1
※夏場(6月~8月辺り)は、産卵数が減少するため、直売所への出荷は、お休みさせていただく事があります。例年通りだと、9月辺りから、若い子たちが卵を産み始めてくれるので、出荷再開といった形になる事が多いです。
鶏の飼い方【小屋の様子】
鶏を入れる羽数は、1坪に10羽の割合を基本にしています。適正な羽数で、疎に飼うことが、病気にならずに健康に育つ秘訣。これ以上羽数が増えると、糞が増えて、鶏が床をかき混ぜて、自然と土に還していってくれる循環に追い付かず、鶏舎が汚染されていくんではないかと思います。
また、各部屋に産卵箱に、止まり木を設置しています。
産卵箱。
産卵箱の中には、綺麗なもみ殻が敷いてあって、こんな感じに。
ほとんどの鶏が産卵箱で卵を産んでくれています。たまに、床に産む子もいますが、そういった卵は自家用にしています。(万が一古い卵が、出るといけないので)
鶏糞堆肥も自給。
鶏さんが床をかき混ぜて、自然と発酵が進んでくれるので、畑の肥料としても扱いやすく、貴重な有機肥料にもなります。
手でも触れるくらいで、臭くもなく、サラサラ。
自然養鶏の床は、匂いもほとんどなく、ふわふわサラサラなので、このように鶏が砂浴びできるほど。日の当たる所を見つけては、よく日光浴&砂浴びをよくしています。
鶏の飼い方に、参考になる本の紹介 。
自然卵養鶏法【中島正】・・・自然養鶏のバイブルといっても過言ではなし。1980年に第一発行されたもので、若干とっつきにくい感じもありますが、自然養鶏について長年研究されてきた成果が沢山詰まっています。少し文章取多めですが、本格的に自然養鶏を始めたいなら、買っておきたい1冊。
自然卵養鶏【渡辺省悟】・・・この本が、簡潔で一番わかりやすく、自然養鶏について解説されています。初めての一冊としては、一番お勧めです。
土着微生物を活かす【趙漢珪】・・・韓国自然農業の考え方ややり方が主に載っている本ですが、自然養鶏の項目もあり、平飼い育雛からの鶏の育て方が詳しく載っています。平飼い育雛の部分でとてもよく参考になりました。
ディスカッション
コメント一覧
こんにちは、とても参考になる情報がいっぱいで感謝しつつ読んでいます。一つ質問なのですが鶏の発酵飼料をそのまま鶏小屋の床で作ることは出来るのでしょうか?
鶏を飼い始めたばかりでまだ何も分からず鶏小屋を作ったのですが青草を刈ったものを床に入れていてこのままこの上に米糠やボカシを振り撒いたらどうなるのだろうと思いました。
こんにちは。ろん農園は小さな卵屋さんですが、少しでも参考にしていただけたら幸いです。
発酵飼料を鶏小屋の床の上で作るのは、難しいかもしれません。発酵飼料になる前に、たぶん米ぬかなど鶏に食べられてしまうかと思います。床にまいた場合、発酵飼料になるというよりかは、発酵鶏糞に近づくのではないかと思われます。
ちなみに、餌を床にまいてあげるという人も中にはおられるので、米ぬかやボカシを床にまいても問題はないですよ。
早速のお返事ありがとうございます! 確かにそうです。ボカシを床に撒くと臭いがなくなると聞いて撒いたのですが撒く先からどんどん食べちゃいます。
ろんさんの経験上、発酵飼料をあげることで実際に卵の味に変化はありましたか?鶏小屋の臭いはどうでしょうか?我が家の鶏はゴールデンセックスリンクという品種でもうすぐ生後2ヶ月になります。産卵はまだ2ヶ月から3ヶ月先と聞きました。ヒヨコを買った養鶏場の方には今はヒヨコ用の配合飼料で充分、産卵が始まったらオーガニックの良い餌をあげればいいよとアドバイスを貰いましたが幼鳥期の栄養も大切な気がします。私の取り越し苦労なのでしょうか?
鶏小屋の臭いはほとんどといっていいほどしないですよ。発酵飼料を与えているのもありますが、適正羽数で(1坪に10羽くらい)までで飼っていれば、鶏さんが毎日床を攪拌してくれる効果で、自然と堆肥化されていって、臭いはほとんど出ることないと思います。(床を湿気させると、においの原因となる事はあります)
一般的には、ヒヨコ用の飼料を与えるとよいとなっておりますが、自然養鶏ではヒナの時期から自家配合飼料を(粗飼料)与えてることによって、何でもよく食べる鶏さんにしていきます。
卵の味は、まろやかになる感じでしょうか。お客さんからは、臭みなく、白身も美味しく食べられると言われたりします。
お返事ありがとうございます。
鶏小屋を建ててから丁度1週間が経ちますが初めは臭くて将来が心配でした。ところが先日から臭わなくなってきたのですが自分が慣れてきたからなのかよく分かりませんでした。粘土質の固い土の上に小屋を建ててその上に落ち葉や腐葉土になりかけた物を森から拾ってきて敷き詰めています。
そしてボカシを振り撒きました。毎日少しづつ庭の枯葉を集めて踏んで砕いた物を更に振りまいています。数日に一度はコンポストで土になった物と共にミミズもそのまま放り込んでいます。でも何の知識もないのでこれで良いのかどうか分かりません。ミミズやナメクジが大好きで見つけた時には大騒ぎになる程ですが食べた後には下痢をしているように思います。すぐにその日のうちには治るのですがこのまま食べさせてもいいのでしょうか?
卵がまろやかな味になると言うのは素敵ですね。楽しみです。早速発酵飼料を作ろうと思います!ろんさんのレシピにある小麦と籾殻ですが私の住んでいる地域では手に入りません。小麦は調理用の全粒粉、籾殻は枯葉をシュレッダーにかけた物でも大丈夫でしょうか?我が家には三羽しか鶏はいませんがお勧めの量があれば教えて頂ければとても嬉しいです。
お勧めの本も見てみました。是非購入して勉強してみたいです。
井戸づくりにお風呂作りにと我が家では実践出来ませんがとても興味深く読んでいます。ありがとうございます。
鶏小屋は、乾燥した落ち葉などの有機物を敷いておけば、大丈夫だと思います。後は鶏糞と混ざって自然と発酵してくれます。
ミミズやナメクジなども、全然問題ないと思います。大喜びでしょう^^
もし自家配合されるなら、餌の作り方の記事を参照ください。穀物は、小麦でなくとも、米やトウモロコシなどでもOKですので、近くで手に入るものを使えば大丈夫ですよ。穀物は粉でない方が、自然養鶏ではいいような気がします。自然養鶏の本は、基本の教科書になるのでお勧めです。
こんばんは。自分の目指す暮らしをしてらっしゃるロンさんの記事、楽しく拝見致しました。
来月に初めての鶏10羽が我が家にやって参ります。最終的に僕も150羽程度の養鶏をやりたいと思っています。
現在の家は154坪の土地ですが周りには住宅があります。この様な場所では150羽の飼育は難しいでしょうか?取り敢えず経験として庭先養鶏10羽に挑戦しようと思っています。
アドバイス頂けますでしょうか?よろしくお願い致します。
ブログ見ていただきありがとうございます。
参考までに、私の体験談ですが、鶏舎から50メートルくらい離れた所に住宅街があり、鶏舎建てる際には、住人に集まってもらい説明会をしました。自然養鶏の説明をして、臭いや公害になるようなことはないこと、羽数などの規模、オスは飼わないから鳴き声は大丈夫などを伝えて、了解を得ました。鶏舎と聞くと嫌なイメージをされる方も中にはおられるかもしれないので、あとあと周りの住人とトラブらないようにはしたほうがいいかもしれません。
100羽以上鶏飼う場合は、家畜保健所へ届け出が必要です。卵の販売は特に届け出はないですよ。
ご返答頂きありがとうございます。
では100羽迄であれば届け出も要らないのですね。
卵は受注販売、又イベント等で売ってみたいと思っています。
僕も自給自足の割合をあげ、お米と卵で現金収入を最低限得る生活を目指しております。
アドバイス頂きありがとうございました
100羽以上の場合、保健所はマスト。届け出に関しては、こちらの方がブログで、詳しく解説されていますよ~↓↓↓
https://syumi-sen.com/chicken-permission_required/
後は、ご自身の判断で^^