鶏の発酵飼料の作り方~自然養鶏法で飼っています~

2024年2月5日

発酵飼料の作り方

鶏に与えている発酵飼料の作り方を紹介したいと思います。発酵といっても、特別な微生物資材を使うわけでなく、シンプルに米ぬかに潜んでいる有用な菌の力を使って発酵させていきます。 各種それぞれの飼料を入手し、自家配合で作っています。

一つに鶏の飼料といっても、各農家さんごとに色んな考え方があるので、こうでなきゃいけないわけではなく、ウチではこうやって作っているよ~という1例です。ろん農園では、自然養鶏で300羽ほどの鶏を飼う小さな卵屋さんをやっております。

鶏の発酵飼料の作り方~

そもそも餌というのは、必ずしも発酵させなきゃいけないものでなく、発酵させずにやっている所の方がおそらく多いかと思います。そんな私も自然養鶏を始めた当初は、手間もかかるし別にいいかと発酵させずに餌を作っていました。

発酵させる理由。

何でわざわざ手間のかかる発酵飼料に切り替えたのかというと、キッカケは長年自然食品を営んでいる店主に、『以前扱っていた所で、発酵飼料を使っていた~~さん所の卵は、後にも先にもなく一番美味しかった』といった話を伺った事でした。

丁度自然養鶏を始めて一年目、卸先を開拓してる途中での話でした。発酵飼料の効用は、色々といわれていますが、決め手となったのは、この一言でした。

私が以前、自然養鶏を研修していた先でも、発酵飼料を作っていたので、作り方の基本は理解していました。そして、やっぱり餌を発酵させるのには、それなりに意味があるのだな~と痛感し、『こりゃあ、やっぱり、やるしかね~な』と思いいたったのでした。

各飼料の分量。

餌の配合も、ずっと一定で固定してるわけでなくその都度、鶏の様子を見ながら変更を加えています。2022年6月現在のレシピをここに載せておきます 。

冬場の発酵させる工夫。

冬場は、外気温が低く発酵が進みにくいので、発酵しやすいよう色々と工夫してあげます(12月から4月末くらいまで)。外気温の高くなる夏場は、保温の必要がなく、逆に過発酵や虫がわく原因となるので、毛布、元種などの工程は省きます。

①毛布で覆ってあげてあります。

②元種(モミガラ、米ぬか、水を混ぜて発酵中の物)を添えて加温。

③前回仕込んだ発酵飼料(発酵して発熱している)を添えて加温。

前回仕込んだ発酵飼料。

山積みしてある餌は発酵してホッカホカの40度越え^^1月現在の真冬でもこのように温度が上がってきます♪不思議な不思議な発酵の世界です。

これが、各種飼料を自家配合させて作った発酵飼料。

角スコップでザッと切り返ししてやったら、

コンバイン袋に詰めていきます。すくう容器は、百均で買った塵取りですが、中々使い勝手いいです(笑)

袋に詰めたら、いったん横にどけておきます。

元種とは。

うちの元種は、もみ殻、米ぬか、水から作られています。特別、~~菌を入れたりだとかは何もしません。米ぬかには有用な菌が沢山潜んでいるので、何も資材を入れなくとも自然と発酵してくれます♪

分量は、だいたいでいいのですが、重さでなく容積で、もみ殻が5に、米ぬか1くらいでしょうか。水も適量です。多すぎず、少なすぎず、ほど良く湿っている程度です。これは、やっているうちにだんだん感覚的にわかるようになってきます。

仕込んでからの時間にもよりますが、時間がたつと発熱してほんのり温かくなってきます。この元種を発酵飼料を仕込む際に、少し加えてやることで発酵のスタートがしやすくなります。

さらには元種を、仕込んだ発酵飼料の横に添えると、加温効果で発酵が進みやすくなるというダブルで、発酵を促進してくれます^^

元種を仕込む。

コンバイン袋に入れてあった元種を地面に広げてやります。

発酵飼料に入れる分を赤バケツ一杯分とっておきます。

餌バケツに移し替えて、ひとまず横にどけておきます。

そしたら、今度はもみ殻を赤バケツに一杯を元種の山に加えていきます。

次に、米ぬかをボール一杯加えていきます。

こんな感じに、前の元種にモミガラ、米ぬかを足して、発酵中の菌を引き継いでいきます。米ぬかが、発酵の元というか菌の餌のようなイメージです。

軽くスコップでかき混ぜてあげたら、

水分を適量、加えていきます。分量は、元種の様子をみながら、欲してる水分量を感じとってあげます。

そしたら、スコップでよく撹拌してあげます。

後は、コンバイン袋に詰めてあげて、元種の仕込み完了。ひとまず、脇においておきます。

発酵飼料を仕込む。

分量をはかりながら、材料を用意していきます。

クズ小麦と呼ばれたりしますが、そんなにクズでもないですよね。鶏の餌に十分使えます^^小麦が餌の総分量の50%ぐらいで、一番多くなります。

床に広げて、山にしていきます。

次は、米ぬか。総分量の約30%。

この米ぬかが、発酵パワーの源です。

続きまして、魚粉。総分量の5%くらい。

卵の成分のタンパク質にも繋がる貴重な動物性タンパク質。

卵の殻に繋がるカルシウムを多く含んだ牡蠣殻。

その他にも、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムも少量ずつ加えます。

分量的には、それぞれ牡蠣殻4%、炭カル1%、リンカル0.5%くらい。

以前はリンカル入れていなかったのだけど、リンカルを加えるようになってから、お尻付近の羽食いが随分と軽減されました。リンカルは、少しお高い飼料だけど、卵を沢山産む鶏さんにとって必要なミネラル分な用です。

これらを山に加え、

最後に、とっておいた元種をプラスしてあげます。

そして、スコップでざっと撹拌してあげます。

ある程度撹拌したら、真ん中を開けてやります。

半日から、一晩水に浸けておいた大豆たち。分量的には13%。

(中島正:著の自然卵養鶏法では、植物性タンパク8%となっているが、ボリスブラウンは大豆よく食べてくれるので多めに与えている。)

クズ大豆です。小麦と同じように、そんなにクズでもなく、鶏の餌に十分使えます。貴重な植物性タンパク質。ちなみにヒナの時は、あまり大豆食べてくれません。(サイズが大きくて食べれないのだと思う)

少し水を切って、大豆がひたひたぐらいの水分量にしてあげます。うちの配合の場合、これくらいの水分量が、最終的に餌に混ぜた合わせた時に、水分量が丁度よくなります。

浸した大豆と水を一緒にまとめて、空けておいたスペースに入れてあげます。まわりの山が支えになって、水が外に流れるのを防いでくれます。

大豆を隠すように、まわりの飼料を寄せてあげて山を作り、

よくよく撹拌していきます。

満遍なく撹拌し終わったら、一番最初に、横にどけておいた前回仕込んだ発酵飼料と元種の袋を山に添えてあげます。

鶏の発酵飼料の完成。

最後にもうふをかけてあげたら、発酵飼料の仕込み完了です^^1日から2日くらいでホコホコと温かくなって発酵してきます。そして、鶏さんの餌を取り出すときは、すでに発酵が進んでいる、横に添えたものから使っていきます。こんな感じを繰り返して、冬場の発酵飼料を作っています。

発酵飼料は、鶏さんの食いつきも非常によく、とても美味しそうに喜んで食べてくれています^^

ユーチューブのろん農園チャンネルでも、発酵飼料を作っている様子をあげています。仕込みから、実際に鶏に与える所までをまとめてみました。

ヒナに発酵飼料を与える場合の注意~2023年追記~

育雛中のヒナに発酵飼料を与える場合は、過発酵にならないように注意しています。

育雛中のヒナは繊細で、大人の鶏なら何ともないような少しのカビでも体調を崩すことがあります。当農園の発酵飼料の場合、数日もおいておいると大豆に白いカビが出てくる事があり、それらがヒナに悪影響を出してまった経験があります。

もしそのような大豆を見つけた場合、ヒナの餌には網でふるってカビた大豆を取り除いてあげたりしています。

またそうならないように、ヒナには発酵したてのフレッシュな飼料を与えるようにしています。

ヒナは、体調が悪くなると、肩をすくめたり、動きが鈍くなったり、端の方に固まったりしてくるので、そのような兆候が少しでも見られたら、早めに原因を追究して対処するように心がけています。