【小規模】枯草踏み込み温床の作り方。

2024年2月5日

毎年、踏み込み温床を作って野菜の育苗をしています。踏み込み温床とは、有機物などが分解する際に出る熱を利用した育苗装置の事を言います。この装置を使って、野菜苗の種まきのスタートを少し早めてあげています。

一般的には、落ち葉を使うことが多いですが、ろん農園では自分所の敷地でとっておいた枯草を使って、作成しています。この方法なら、自分ところで出てきた材料を原料に使えるのが最大のメリットだと思います。わざわざ外から有機物をとってこなくても自分ところでできたもので、まかなえ、ゆくゆくは堆肥や育苗の土としてまた、畑の土に循環していくというサイクルができる所も気に入っています。また、作る野菜は販売目的でなく、自分たちで食べる分を作るという自給農家なので、苗を作る量も少なく、小さな作りの踏み込み温床を作っています。

比較的小さな踏み込み温床。

踏み込み温床を作る枠のサイズは、縦×横150㎝×180㎝の高さ45㎝で作っています。一般的には、もっと大きな枠を用意する事が多いと思いますが、自給分の苗を作るには、大き過ぎるし、材料を準備するのがとても大変なので、比較的小さなサイズの踏み込み温床にしています。

もちろん大きい方が、発熱や保温効果も長持ちするというメリットはありますが、自給農家は大量に苗を作る必要がないし、そこまで苗づくりを早める必要もないので、最小限でも良いのかなと思います。保温効果の持続が、大きいものに比べると弱い分、作成する時期で調整してあげます。

ろん農園では2月半ばくらいから、仕込み始めることが多いです。これでも、少し寒い時期から種まきのスタートを早めてあげることができると思います。

枯草を細かく細断。

2018年は、2月20日が仕込みのスタートでした。

畑の一角に野積みしておいた草や野菜の残渣などを集めてきます。

農園に持ち帰ってきたら、ワラカッターで細かく粉砕していきます。

こんな感じに。

ちなみにワラカッターを導入する前は、長いまま枯草を使っていました。長いままでも、ちゃんと発酵して熱は出てくれます。

枠に材料を入れていく。

あらかじめ作ってあった踏み込み温床の枠。ここに、細かく粉砕された枯草を投入していきます。

野外に作っているので、少しでも温かくなるよう、上に三角屋根を作って開閉式のビニールハウスになっています。ビニールハウスの製作模様は、最後の方で紹介する事にします。

ある程度(厚さ10㎝くらい)入れたら、

米ぬかを一面にふりまいてあげます。米ぬかには、発酵の元となる有用な菌が沢山潜んでいます^^

今度は、鶏糞を米ぬかよりも厚めに入れていきます。ウチは鶏さんを飼っているので、自分ところでとれる鶏糞を使っていますが、代わりに牛糞なんかでもいいと思います。鶏糞もとても発酵しやすい材料です。

そしたら、ジョウロに水を入れて、全面にたっぷりと水をかけてあげます。ちなみに、この蛇口は、雨水タンクからの水が繋がっています。

踏み込み、徐々に積み上げていく。

水をたっぷりかけてあげたら、人が中に入って、シッカリと踏み込んであげます。

この工程を何度も繰り返して、枯草、米ぬか、鶏糞のサンドイッチを何層にもわけて作っていきます。層を作るたびに、水、踏み込みをシッカリとおこなってあげます。

枯草が足りなくなったので、もう一車分とってきました。この踏み込み温床の仕込みのために、各畑の一角に枯草をたくさんストックしてあります。

ワラカッターで細かく細断してあげたら、また、枯草、米ぬか、鶏糞のサンドイッチを何層にも繰り返していきます。

そして、枠上段までシッカリと詰め込んであげたら、仕込み完了となります^^ 温度計をセットして、様子を伺っていきます。2月20日。現在、8度くらい。

踏み込み温床の完成。

仕込みから4日が経過した2月24日には、30度に。早くも温かくなってきました。

発酵して、温度が上昇。

約1週間後の2月28日、36度に。表面にもみ殻を敷いてあげました。

3月6日。46度。このくらいで、温度上昇はストップして、徐々に降下していきました。

ぼちぼち踏み込み温床の完成となります。

もう少し温度が下がってきたら、種まきの開始となります。

野菜の播種。

3月10日。温度も30度台に落ち着いてきたので種を播種していきます。温床で、最初に蒔くのは、ナス科などの野菜達が多いです。

覆土して、水をたっぷりかけてやったら、新聞紙をかぶせてあげて、発芽を待ちます♪

YouTube動画でも紹介しています。2021年版です。

この年は、コーンサイレージ用に育てていたトウモロコシのあまりの茎葉を野積みしてあったものをメインに使いました。外から持ち込まず、畑でできた作物を有効活用。資材の準備の様子から温床の片付け、仕込みまで一連の流れを紹介しています。よかったら、どうぞご視聴ください。

踏み込み温床のその後。

一年後には、自然とカサも減って、こんな感じになっていきます。

翌年の踏み込み温床を作る前に、綺麗にとりだしてあげます。

軽トラに積んで、空いてる畑の一角に山積みにしてあげます。分解が進んで、黒茶色っぽいフカフカの土に変身しています。この土は、翌年に育苗の土なんかに混ぜて使います。

腐葉土が好きな昆虫の幼虫なんかもよくでてきます^^

育苗の土に使えます。

さらに、翌年には、、、

畑の一角に山積みしておいた温床の土。

さらに分解が進んでこんな感じに。もともとは畑で出てきた草たちが、まさしく土に還ろうとしています♪

この腐葉土を、畑の土と混ぜて育苗に使ったりしています。そうすると、草からできた腐葉土が畑へと還っていきます。畑で、出てきた草が、畑へと還るという循環です^^

踏み込み温床をビニールハウス式に。

順番が前後しますが、温床ハウスを作った時の様子を紹介したいと思います。

温床の枠が完成したら、上に三角屋根を作ってやって、ビニールハウス仕様にしていきます。

梁を渡してビス止めしてやって、こんな感じに。

上に農業用ビニールを張るので、カンナで角を落として、丸みをつけてあげます。

農業用ビニールをセットして、こんな感じに仕上げてみました。

両サイドのビニールは、巻き上げ式。開け具合を2段階に調整できるようなっています。温かいので、猫ちゃんも大好きな温床です^^

ビニールを閉めるとこんな感じに。

天気の良い日は、中が暑くなり過ぎないように、ビニールをまくって温度調整してあげたり、開け具合で温度を調整してあげます。 よく晴れた天気の日は、空け忘れると、作物が焼けてダメになる恐れがあるので、注意が必要です。 また寒くなる夜は、両サイド閉めてあげたりと作物が育ちやすいよう調整してあげます。

こんな感じで、ビニールハウスと踏み込み温床の発酵熱をうまく使って、温かい環境にしてあげて、少し寒い時期から野菜の苗づくりがスタートできるようにしてあげています。

踏み込み温床ハウスの改善点。

前回作った時は、頂点のビニールを止めるのに、胴縁(木材)で押さえて、傘釘を打って止めていたのですが、より雨水が侵入しないように今回は、ビニールハウスでよく使われるビニバーを使用しました。棟木の奥が朽ちたのは、雨水の侵入と考えられるので、改善していきます。

ビニバーにはビス止めできるよう、ドリルで下穴を空けておきます。

スプリングをはめてビニールを固定していきます。この方法なら、ビニールに穴を空けることなく固定していけます。バージョンアップ^^

農ビを張るときは、裏表があるので、ビニールに書かれてる文字で判断していきます。文字が読める方が表で、外側になるようにします。(読める方が外側に作られているビニールが多いようです。)

こんな感じに♪これでまた、3~4年は使えるでしょう^^

今回農業用ビニールでしたが、耐久性を考えて後に、農POフィルムに変更しました。

農ビよりも丈夫で長持ちなので、農POフィルムお勧めです。

最後に、ビニールを降ろした際に、風でバタバタしないように、杭を打ってあげます。白アリ対策に、バーナーで焦がしてあります。

今年も踏み込み温床仕込んで、野菜の苗を自給するぜぃ。