鶏の飼い方~ひよこ編【自然養鶏で、ノビノビと元気に育てる】
300羽程度の小さな卵屋さんが、おこなっている鶏のひよこの飼い方を紹介していきます。ろん農園では、なるべく自然に近い形で育てたいという思いから、平飼い育雛という方法でヒヨコを育てています。広い部屋で、毎日元気にあちこち走り回わっております^^
鶏小屋の準備。
まずは、ひよこを仕入れる前に、鶏小屋の準備を進めておきます。
ヒナを迎える準備として、育雛舎にもみ殻を一面に敷いておきます。
もみ殻を敷く前に、鶏舎の床に鶏糞が溜まっている場合は、ある程度鶏糞を減らしておいてから、もみ殻を敷いていきます。(長年、鶏を飼ってていると段々床が上がってきたりします)
このように、乾いたもみ殻をたくさん敷いてあげます。こんな山を2山くらい。
全体的に均してあがると、こんな感じに♪
ろん農園では、綺麗なもみ殻をたっぷり敷いてやってから、ひよこを迎えています。
ヒナの間は、床面をなるべく綺麗な状態を保ってやるのが、病気を発生させないコツの一つだと考えています。ヒナの間に注意したい病気に、コクシジウムという病気があります。
病気を発生させないコツとしては、床面をなるべく湿気させないようにとか、床の糞率が高くならないようにとかでしょうか。広い部屋に、もみ殻をたっぷりと敷いておけば、それらのリスクも軽減できるように思います。
育雛箱の作り方。
産まれたての初生雛から育てる場合、電球などを使った保温箱が必要になってきます。
本来鶏は、卵からひよこに孵ると、親鶏の下に隠れるように入って、温まったりします。そのような環境を人工的に作ってあげます。
まずは、このような木枠を作ってあげます。
サイズは90㎝×90㎝。これで100羽用になります。
蓋は、こんな感じに、真ん中で2つに分けてあります。
(後々、ヒナが成長してから、上に乗られるので、糞の跡がついている。)
これらをセットするとこんな感じに。
真ん中の穴には、電球のソケットが入るように設計されています。
ホームセンターで見つけた電球のソケットを穴にハメて電球をセットしていきます。
電球は最初、100Wをつけてあげます。
こんな感じに。
蓋の後ろ側の方には、換気のためにドリルで穴を空けてあります。
育雛箱の中には、温度計をセットしておくと、中の温度を確認するのに便利です。
そして最後に、育雛箱の上に毛布などを掛けてやって、入り口には切れ目を入れた毛布を暖簾のようにかけてやったら、育雛箱の完成です^^
蓋の後ろの換気の穴がある所だけは、毛布をかけずにあけてあります。これで、電球をつけてあげたら、箱の中が温かくなって、ヒナちゃん達が快適な温度で、過ごせることとなります♪
入り口の前には、90㎝×90㎝の木枠を作って、運動場とします。
水飲み器の自作。
ひよこがくる前に、準備しておかなきゃいけないのが、水飲み器。
高価な鳥用の水飲み器を買わなくても、百均の容器なんかで簡単に水飲み器作れちゃいます。
適当なプラスチックの容器と鉢などの受け皿を百均で購入します。計200円。そしたら、容器の上部にドリルで写真のように、4~5か所まとめて穴を空けておきます。
後は、容器に水を満タン入れて、鉢の受け皿を上部に被せながら、サッとひっくり返せば、こんな感じに♪
不思議ですが、これで、水はこぼれることなく、ひよこが水を飲むごとに、穴が空いてる所まで水が自然と湧き出てくれます^^
ヒナ用の餌箱。
こんな餌箱も用意してあげています。ヒナ用で小さいサイズなので、すぐに大きいのに替えることになっていきますが、最初は、このくらいが丁度いいサイズです^^
ひよこの入手。
ろん農園では、3月にひよこが到着するように予約しています。自然のリズム的にも、春の育雛がお勧めです。ひよこを飼うことが決まったら、早めに孵卵場に連絡して、予約を入れておきましょう。
平飼いの自然養鶏で飼うなら、赤玉鶏がお勧めです。赤玉鶏の特徴としては、おとなしく管理しやすい。雑食性に富み、粗飼料でも飼いやすいなどがあげられます。有名な種鶏だと、ボリスブラウン。
他に、自然養鶏でよく飼われている種鶏としては、純国産のゴトウもみじ、岡崎おうはんなどでしょうか。
私が今まで飼ったことあるのは、ゴトウもみじ、シェーバーブラウン、ボリスブラウン。種鶏によっても、微妙に性格や体格、卵の大きさ、餌を食べる量など違ったりします。
2020年3月6日。ひよこは、こんな感じに段ボールに梱包されて送られてきます。
配送業者の営業所止めで送られてくるので、車で営業所まで取りに行きます。そうすると、従業員さんが、奥の方からピヨピヨピヨいってる箱を持ってきてくれます(笑)
そして軽トラで、揺られる事40分。ろん農園へ到着。
箱を開けるとこんな感じです。
一見段ボールの中で可愛そうにみえますが、 産まれたばっかりのヒナちゃん達は、まだ自温があまり出てきていないので、寒さに弱く、こういった段ボールにまとまった数で入っていると、暖がとれる仕組みになっております。
羽数を確認しながら、温まっている育雛箱に移し替えてあげます。
死んでる子はいないか?弱ってる子はいないか?様子もチェック。2020年、今年のヒナは、皆超元気でした♪
水飲み器の下に一回り大きなベニヤ板を敷いておきます。ヒヨコが床のもみ殻を掻いて、水飲み器が詰まるのを防止するため。
暖簾の奥が温かい育雛箱で、手前が運動場。ここが、新たな君たちの住まいだよ~^^
育雛箱で、雛を保温。
電球がついた部屋は暖かくて、ヒヨコには適温。この時の温度は、30度~35度くらいが目安です。ここから2週間くらいは、電球をつけた部屋を用意してあげています。
保温する期間は、春秋で2週間、夏で10日、冬で20日程度とされています(参照:自然卵養鶏法)
自然養鶏では、初めに玄米を与えます。柔らかいチックフードでなく、硬い玄米を最初に与えることで、ゆくゆく粗飼料で何でもよく食べてくれる強く健康な鶏さんに育ててていきます。初めて餌を与える時は、暖簾の下付近に置いてあげます。水も同様に。
4日目あたりから、草なども細かく刻んで与えて始め、
5日目辺りで、玄米から大人用の餌にボチボチ切り替えていきます。急に全部替えてしまうとビックリするので、最初は玄米を混ぜながら、徐々に玄米を減らしていきます。
他には、小石なども与えます。小石は砂肝の中に蓄え、餌を磨り潰すのに使われる大事な飼料の一つです^^
自家配合してる大人用の餌の作り方は、別記事で紹介しています。
運動場を拡張①。
ひよこの成長とともに、少しずつ運動場を拡張。
このように、コンパネと木の棒を使って運動場を広げてあげます。
コンパネで壁をして、木の杭を樹脂ハンマーで打ち込んで固定してあげます。
運動場を元気に走り回っております♪
これは、水を飲む様子。
水を飲む時に上を向いて、水を自重で流し込んでゴクゴクしていきます^^
電球も徐々にワット数を下げていきます。60Wに変更。
運動場を拡張②。
さらに運動場を拡張してあげました。これで、ヒナ到着から11日目くらいです。
電球も40Wに変更。徐々に低い温度に慣らしていきます。
最初は小さかった羽も羽らしくなってきて、顔つきも少しシッカリしてきました。
草もよく食べる用になってきました♪小さな頃から草を食べさすことで、生涯よく緑餌を食べてくれる鶏に育てていきます。
運動場の枠を外す。
3月19日。ヒナ到着から、約2週間。運動場の枠も取っ払ってあげました。この頃になると、ひよこに自温もしっかり出てきているので、そろそろいいでしょう。
この頃になると、枠を飛び越えてくる子もいたので、運動場の枠もそろそろ限界(笑)
枠を取っ払ってあげると、広くなって皆大喜び♪あちこち走り回ります^^
水飲み器も一回り大きいものに替えてあげました。(これも百均セット)
平飼い育雛。
ヒナも2週間を超えると、保温しなくても大丈夫になってくるので、育雛箱の毛布もはぐってあげて、保温の電球もストップしてあげます。
木の箱は、寝枠として利用するため、そのまま利用していきます。
ただ、寝枠として利用するのに最初、寝る場所が分からず、夕方暗くなるとピヨピヨと鳴きながら困ってしまうことになるので、寝枠に誘導してあげる必要があります。(今までは保温のための電球が点灯していたので、暗くなると自然と箱に入っていました)
平飼い育雛では、この寝枠を利用する事が重要なポイントのように思います。
ヒヨコは、夜間に一か所に(壁際や角など)密集して固まるように寝るクセがあって、その中の方にいるヒナが圧死してしまったり、空気不足によって弱まって、コクシジウムなどの病気に繋がる可能性が出てきます。
寝枠を利用すると3方壁の空間で、安心できるのか一か所に密集しにくくなるようです。
なので、夜間寝枠で寝る事を教えてあげることが大事になってきます。
ちなみに多くの養鶏場で、バタリー(カゴ飼い)形式にして10~15羽に小分けして育雛するのは、夜間に密集して圧死やコクシジウム症をさけるためだそうです。
小さな電球をセットしておいて、夕刻だけ電球をつけて寝枠に誘導してあげる方法も、いいと思います。このように数日してあげると、寝る場所を覚えてくれるので、そうなったらこの電球も外してあげます。
もしくは暗くなりかけに、寝枠に追いやって入れてあげます。数日追い込んでやると、だいたい寝枠で寝ることを覚えてくれます。
ミルワーム。
ときどき、餌づくり場でミルワームを見つけては、手のひらに乗せてヒナに与えたり、畑でミミズや幼虫を捕まえたら、与えたりしてます。
大喜びで、独り占めしようと、咥えてはアチコチ走り回って、皆が追っかけて、大運動会となります(爆)
草を株事与えるのも意外といい方法です。ある程度草が大きいと、重さがあるので、ヒナが嘴で食いちぎって葉っぱを食べたりできます。
3月29日。まだ来てから、一か月も経っていないけど、大人用の止まり木にも軽く飛び乗れるようになりました。ヒナの成長いと早し。
4月10日(36日齢)。一か月ちょっとたって、羽の色がヒヨコの薄黄色から、大人の茶色に段々変わってきました♪
100羽を1群で育雛する場合は、一か月くらいで、90㎝×180㎝の寝枠に変更してあげます。
ろん農園では、保温期間が終わった後に100羽を2部屋に分けて、50羽1群で育雛しているため、寝枠は90㎝×90㎝をそのまま利用している。
顔つきも少しずつ凛々しくなってきました^^
追記(2023年4月)~寝枠の蓋を外す
23年もみじのヒナを育雛途中で、コクシジウム症らしい症状がでて、調子の悪い子が5~10羽ほど出てしまいました。ちょうど日齢でいうと50日齢くらいの時です。
改善策として、寝枠の蓋を外して、夜間集まって寝る時に換気が少しでもよくなるように、工夫してみました。
さらに寝枠の四隅に角材をかまして、下に隙間を作って、空気の循環が良くなるように工夫。
コクシジウム症は、夜間に密集して寝る際に、中へもぐりこんだヒナが空気不足によって、弱まることが大きな要因としてされるので、寝枠の環境を改善させることが重要であると思います。
次回からは、早めに寝枠の蓋を外して、より良い環境で、未然に病気を防げるよう注意しようと思います。
ちなみに昨年まで飼っていたボリスブラウンは、寝枠の蓋を外さずとも体調崩さず元気に育っていたのですが、品種によって性格など微妙に違うので、夜間密集の具合も多少異なるのかもしれません。ボリスにせよ、換気よく、環境が良いにこした事はないでしょう。
水飲み器を大きくする。
4月26日(46日齢)。
餌を食べる量が増えてくるにつれて、水を飲む量も増えてくるので、前の水飲み器より要領の大きなコンテナに変えてあげます。(身体もだいぶ大きくなってきて、水没してしまう事故なんかの心配もなくなってきたと思うので)
また、地べたに置くと、床の鶏糞が入ったりして汚れるので、台を作って、一段上げて水を与えています。
止まり木で寝ることを覚えさす。
5月の55~60日齢辺りで、寝枠を外して、夜間止まり木に止まって寝るようにしつけていきます。
最初は、どこで寝たらいいのかわからず、夕方暗くなってくると、ピヨピヨピヨと騒いできます。
最初は2~3割くらいの鶏しか、止まり木に止まって寝てくれなかったりするので、暗くなってから、止まり木に乗せてあげて、『ここで寝るんだよ~』と教えてあげます。
もしくは、夕刻に密集して固まり出したら、止まり木の方へ誘導して、自ら止まり木に止まるよう仕向けてあげます。人が掴んで止まり木に乗せてあげるよりも、自ら止まるようにさせた方が効果的のように思います。
その際このような小さなスロープ状の階段を作っておいてやると、止まり木へと移行しやすいです。
最初は少し手間ですが、このようにして全羽止まり木に止まらせてあげます。
あまり明るいうちにやると、すぐ降りてしまうので、暗くなりかけで、あまり動かなくなってからやるのがポイント。数日やってあげると、だいたいの子が夜間止まり木で寝る事を覚えてくれます^^
ヒナは、夜間密集して眠る癖があるので、寝枠をいつまでも置いておくと、密集の害で、酸素不足や圧迫などから環境が悪くなることにより、コクシジウムなど病気になりやすくなったりするので、平飼い育雛の場合、早めに止まり木に止まって寝ることを覚えさせてあげた方がいいように思います。
止まり木に止まって寝ると、密集することなく、寝ることができるので、ヒナの健康に繋がります。かといって、あまり早く寝枠を外しても、止まり木に止まって寝てくれないので、55~60日くらいが目安になるかと思います。
この止まり木に止まって寝る事を覚えてくれたら、育雛はひとまず安心です。この後は、だいたい順調にスクスクと育ってくれます。
まとめ。
ろん農園ではこんな感じで、平飼い育雛で大人になるまで育てています。一般的には、バタリーというカゴに小分けして、育雛する方法が多くとられているようです。これも、ヒナの夜間密集による害を防ぐための飼育法になります。
おそらく大規模に飼う場合は、平飼い育雛だと管理が大変だから、バタリーにあげて、管理しやすいようにするのでしょう。一長一短なので、どちらがいい悪いでなく、あったやり方を選んでいけばいいのだと思います。一番大事なのは、鶏が病気にならず、元気に健康に成長する事でしょう^^
卵を産むまでの基本的な飼い方は、別の記事で紹介しています。よかったらそちらもご覧ください⇒『自然養鶏的な鶏の飼い方』
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