【手植え手刈り】昔ながらのお米作り~2015~

2024年3月27日

自給自足生活2年目の2015年、念願のお米作りに初挑戦しました。苗代を作って、苗を手植え、収穫は手刈り、ハサがけ乾燥と昔ながらのシンプルな農法で栽培していきます。また、化学肥料、農薬を使わずに、育てる有機農法での栽培です♪

果たして、化学肥料、農薬(除草剤、防虫剤等)を使わずに、うまいこと栽培できるのか?

もともとは、福岡正信さんの自然農法に憧れがあった僕は、化学肥料なくても良いんじゃないか?農薬なくても良いんじゃないか?むしろない方がいいんじゃね?

いつぞやから、そんな風に思うようになっていました。

自然農法とまではいきませんが、農薬、化学肥料を使わずに、心地のよいシンプルな農法でのお米作りをしていきます^^

塩水選。

まずは、種もみの選別。

初めてのお米の栽培なので、種もみは購入してきました。購入先は確かJAさんだったかな?品種は、定番のコシヒカリにしました。

苗代を作って、7畝の田んぼに田植えをするのには、種もみは1キロちょいもあれば、植えられます。

塩水選で、種もみを選別。

4月9日。 購入した種がだいぶ多かったので、セオリー通り塩水選してみました。水に塩を溶かすことによって、比重を重くして、悪い米が浮きやすいようにしてあげます。一般的にうるち米は、比重1,13で選別するそうですが、比重計など持ち合わせてもいないし、適当に塩を入れてやってみました(笑)

浮いてきた種もみを除く。

少し混ぜ混ぜしてやって、軽めの籾などが浮いてきたら、 ザルですくって取り除いていきます 。これで、しっかりと中身の詰まったいい種もみを使えることになります。

あとで調べてみると、10Lに塩2,5キロで、比重1,13くらいになるらしいです。結構な量が必要なんですね、、、。ケチな、いや、エコな僕からすると、そんなに塩使うのって、なんかもったいなく感じました><その塩水って、最終的には排水になるわけですし。。。

その後、クズ小麦を種に小麦を育てて、問題なく普通に育った経験があったので、選別はほどほどでいいという事に気がづき、翌年からは、塩水選辞めて、単なる水で軽く選別してやる方法に落ち着いたのでした。

福岡正信さん的『なくてもいいんじゃないか!?』は、僕の中で、結構重要な考え方の一つであります(笑)

種もみの浸種

種もみを塩水選してあげたら、網の袋などに入れて、樽に水を張って、浸種して芽出しをしていきます。

種子消毒もなし。

本来一般的なお米作りでは、浸種する前に種子消毒という作業を行うのですが、ろん農園ではそれもなし。

一般的な農法では、薬を使うか、使わない場合は60度の温湯で消毒という作業が行われる事が多いようです。

何も消毒しない代わりに、毎日綺麗な水に変えてあげて、樽も綺麗に洗ってあげたり、種もみを少し動かしてあげたり、丁寧にお世話してあげます。このようなやり方は、有機農業の研修にいってた先で、学んだのでした。

それまで勤めていた請負農業の会社のやり方と180度違いそんなやり方でいいのか~と、目から鱗でした^^環境をよくしてあげたら、薬、消毒などしなくても、元気に健康に育つんだな^^

浸種は芽が少し出だすまで、水に浸けておきます。その時期の外気温にもよりますが、だいたい10日ちょっとで芽が出始めてきます。参考までに、芽が出るまでの時間は、積算温度100度(水の温度×日数)といわれています。

初めての苗代作り。

苗代づくり。

4月21日。昔ながらの苗代を田んぼの一角に作っていきます。初めての苗代づくりで、要領も良く分かっていませんでしたが、勘を頼りに作っていきました。

お借りできた田んぼは、井戸水をポンプアップして水を引けるところだったので、ポンプ小屋に隣接するように苗代の位置を決めていきます。

全体の大きさが幅3,6m×13mで、1,2m幅の平畝を2つ作ってみました。外周には水がこぼれないように土をスコップで積んであります。

苗代の畔塗り。

少し水を入れてやって、外周の壁を畔塗のような事をしてみました。やってみたら何も難しい事はなくて、水を入れて柔らかくなった土を手で取って、ペッタンペッタンと叩き固めていくだけ。

畔塗する前に、山に盛った土を上から足で踏んで、空気を抜いて軽く固めてあげておくといいと思います。難しく考えずに、要は水が外にもれないようにしてあげたらいいんだと思います^^

苗代完成。

こんな感じに苗代が出来上がりました。板は、外周に水を回して、畔塗りするために止めてみました。

1年目はこんな感じで仕上げてみましたが、後に改良して、このタイミングで平畝のギリ上部まで一度水を張ってやって、高低差を確かめて、均してあげる技を覚えました。人間の目だけでは、どうしても高低差が出てしまうので、水の力を借りて、水平を見て均してあげると綺麗になります♪

種もみの播種。

苗代に種もみを播種。

4月22日。苗代を作った翌日、種もみを播種しました。1キロほどの種を均一に手でパラパラパラ~っと適当に蒔いていきます。用意した苗代には、若干多めですが、その方が草が生えるスキマがなくなっていいような気がしています。

2週間近く浸種してた種もみは、わずかに芽が出かけてきています。少し芽が出かけている種もみを使うことによって、スタートを早くさせて、草との競争に少しでも勝ちやすいようにしてあげます。

種もみを蒔いた後は、周りの土を手で揉みほぐしながら、軽く覆土してあげます。

保温折衷苗代。

苗代に有効ポリをかける。

最後に有効ポリをベタ掛けして、保温してあげます。有効ポリとは、表面に小さな穴が沢山空けてあって、ビニールで温度が上がりつつも、上がり過ぎないようになっています♪

脇に土を被せて、風などで飛ばないようにしてあげます。

井戸のポンプ。

後は、井戸のポンプをスイッチオンして、水を入れていきます。

最初に、井戸のポンプを使い始める時は、呼び水を入れてあげます。その後に、スイッチを入れると、しばらくして水が上がってきます。

有効ポリをバンド紐で押さえる。

このように、ビニールで保温しつつ、溝の部分には水を張って苗を育てる『保温折衷苗代』といいます。発芽が揃うまでは、ビニールで保温して、その後はビニールを剥がして、水を上部まで張って、水で保温していきます。

ビニールが風で飛ばないように念のためバンド紐で押さえてあげました。

稲の発芽適温は、30~35度とかなり高めなので、有孔ポリで保温しながら発芽を促すのはとても良い方法のようです。

稲の苗の成長。

稲の苗が発芽する。

4月29日。丁度種まきして1週間後には、こんな感じに芽が出そろってきました。有効ポリも剥がしてあげます^^有効ポリを剥いであげたら、鳥よけに防鳥紐を張ってあげました。

稲の苗が数センチに成長。

5月1日。初めての苗代づくりで、どうなる事やら心配していましたが、ちゃんと発芽して、順調に育ってくれました。ほっ^^

カブトエビを発見。

5月6日。苗代で、カブトエビを発見しました♪

苗代の水が濁る。

カブトエビが、水の底を動いてかき混ぜてくれるので、水が濁って見えます。この濁り水効果は、水田雑草の抑制に繋がるのでいい傾向^^

苗代の苗の成長。

5月14日。少しずつ大きく育っていきます。

苗代の苗の様子。

5月20日。順調に成長中。少し浮草が見受けられるようになってきました。

苗代でカイエビを発見。

苗代では、ゲンゴロウやカブトエビ、カイエビも泳いでます。無農薬のお米作りは、生き物がいっぱい^^

苗代に浮草が沢山出てくる。

5月27日。浮草が、ビッシリと水面を覆ってきました。この浮草がある事によって、遮光効果が生まれ、雑草を抑えることにも繋がります^^草をもって草を制す。

代掻き。

トラクターで代掻きをする。

6月5日。そんなこんなで、順調に苗代の苗も大きく成長してきたので、代掻きをおこなっていきます。田んぼに水を張って、トラクターで掻いていきます。水加減は、土が少し見える程度の、ヒタヒタくらいがちょうどいいかと思います。

水が多すぎると、高低差が分かりにくいし、少なすぎてもコネにくいので、多すぎず少なすぎずほどほどの水加減で代掻きをおこなっていきます。

まずは、縦方向に掻いてあげました。

トラクターで角材を引っ張りながら代掻き。

2回目は横方向に。

角材をロープで引っ張りながら、均しています(笑)初めてで、うまくいくか不安でしたが、小さなトラクターでも、いい感じに代掻きできました^^

最後の仕上げに、人力で木製のトンボのような道具(エブリ)をこしらえて、高低差を少し直してあげて、代掻きの完了です♪

手植えの田んぼ。

苗代の苗取りを進める。

6月7日。手植えの前に、まずは苗取り。

根っこを傷めないように、根元の土からゴソっと取りながら、苗を溝の水でジャボジャボ洗って、土を落として、植えやすいようにしていきます。

この苗取りが、中々労力がかかり、大変な作業となります!!まあ~~~、腰が痛いです(笑)

3分けつした苗の様子。

苗は、3本くらいに分けつしてこんな感じに♪

線付け棒とエブリ。

そしたら次に、奥の自作の線付け棒を使って、田んぼに縦横30cm幅に印をつけていきます。

手前は、均すための道具エブリです。

手植えの様子。

縦と横の線が、クロスした所が苗を植える目印となっています。

縦横30cmの正常植え。一般的な機械の田植えより、随分と広い間隔になるかと思います。それも一本もしくは2本植え。

無農薬の田んぼでは、感覚を広くして、ノビノビと育てていく事で、薬を使わなくても、健康に育っていきます。自然養鶏と似てて、過密でなく、広い空間で育ててあげることで、病気になりにくい環境を作ってあげます。

また、縦横の条間を30㎝に揃えておくことで、後に入る除草機を通せるように計算しています。

そして6月9日。田植え開始から、3日後。全部植え終わりました。よっしゃ!!

2日目は、苗代以外の所を植え終わり、苗代の外周の壁を崩して、苗代部分の代掻きをして、均してあげておいて、3日に苗代部分の田植えといった流れになります。

田植えが終わったら、田んぼに水を張ってあげます。

手押し除草機。

田んぼに水を張る。

6月13日。手植えの苗もちゃんと活着してくれたようです。いい感じ。

2条の手押し除草機。

6月14日。田植えが終わって、まだ5日目ですが、1回目の除草機に入ってあげます。一回目は縦に入ってあげました。

まだ、草の芽は見えていないけど、この頃になるとわずかな草の芽が動き出しています。水田雑草は、代掻きするのに水を入れた時点からスタートし出すので、田植え終わって5日目でも、代掻きから換算すると、9日目なので、草はもう動き出しています。

除草された草が浮いてくる。

写真ではわかりにくいかもしれませんが、除草機を通してあげると、小さな草の芽が浮いてきます。

草は、目に見えるように大きくなってから除草するのは大変で、小さい間に対処するのがポイントとなります^^

2回目の除草機。

6月19日。2回目の除草機。今度は横方向に入ってあげます。

こうすることによって、株間も除草できるので、縦だけ入るよりも除草効果は大きくなります。

コナギが浮いてくる。

コナギなのかな!?今度は写真でもよくわかるくらいに、草の芽が出てきています。

除草機を通すとこういった草の芽を浮かして除草したり、かき混ぜることによって、水が濁って、遮光して、草を抑制したりといった効果が期待できます。

その1週間後に、3回目の除草機を今度は縦に入ってあげて、除草作業は完了です♪

稲の生長過程。

浮草が沢山出てくる。

7月9日。水草が徐々に繁殖してきました。

稲の分けつも徐々に増えて大きくなってきました。

浮草と稲の姿。

7月13日。THE浮草マルチ。浮草が一面にはびこる事によって、遮光効果で雑草が生えるのを抑えてくれます^^

大きく成長中の稲。

7月26日。分けつも増えて、条間がわからないくらい稲の葉っぱが広がってきました。

稲の株下の様子。

この辺りで、一度中干しをしてあげました。除草がバッチリうまくいったので、ほとんど草が生えていません♪除草剤使わなくても、うまくやれば、このように育てられるんだな^^

少しひび割れが入って、土が硬くなるくらいまで干してあげます。

ちなみに、田植えから中干しするまでの間は、田んぼにいつも水を張っている状態にしています。水が乾いて土が見えてくると、草が生えやすくなるので、雑草対策の意味でも水を常に切らさないようにしています。

中干しが終わる頃には、稲も十二分に成長していて、稲が優先化してきて来るので、さほど草の心配はなくなってきます。とはいっても、あんまり水を張ってないと草が生えてくるので、適度に水を入れていきます。

出穂。

出穂し始め。

8月8日。出穂し始め。

出穂するころには、花水といって、稲穂に水が必要とされる時期なので、たっぷり水を入れておきます♪

稲穂が出そろう。

8月12日。だいたい穂が出そろってきました^^

稲穂が黄金色に輝く。

9月22日。段々と黄色く色づいて、頭を垂れてきました^^

ボチボチ収穫時期が近づいてきました。収穫時期は、出穂してからだいたい40日~50日くらいを目安にしています。

収穫時期が近づいて来たら、田んぼの水を落として軽く地面を固めておきます。

手刈り&ハサがけ。

手刈りで稲の収穫。

9月28日。天気と相談しながら、晴れ間を狙って、稲刈りを開始していきます。

この時は、まだハーベスターもなかったので、稲刈り鎌で手で刈り倒して、麻ひもで縛ってといった感じの収穫でした。

稲の束を麻ひもで縛る。

刈り取った稲の束をクロスしたものを2つに重ねて、麻ひもで、ぐるりと縛ってきます。

1年目は、シンプルにこんな感じでしたが、現在では、8:2くらいに多い少ないでクロスさせて縛っていく方法を使っています。その方がハサがけする時に沢山&シッカリかけられます。

稲の束をハサがけしていく。

ハサは、実家の工場にあった建築用の足場と単管パイプを利用してみました。

なるべくなら、買わずにすでにあるものを有効活用していきたい。工場には使われなくなった道具が沢山あるので、時々使わせていただいております。

ハサがけされた稲。

実りの秋♪

足場と単管パイプを利用したオリジナルのハサに稲の束がかけられていきます^^

ハサの棒を延長する。

9月30日。単管パイプだけでは足りなかったので、竹を利用して、ハサを伸ばしてみました。この竹も工場にストックしてあったんだな^^ジッチャンが残してくれたものに感謝です。

最後の稲を刈り終わる。

10月3日。やっとこさ、終わりがみえてきました。

人力で全部刈って、一つ一つ縛って、ここまできました(涙)ふぅ~。

なんだかんだ、1週間近くかかりました。

全ての稲をハサにかけ終わる。

じゃん!!

手植え、手押し除草、手刈りと作り上げたマンパワーの賜物なり♪

お米の脱穀。

ハーベスターで稲をこぐ。

10月10日。1年目は、ハサがけしたあと好天が1週間ほど続いてくれたので、乾燥も順調に進んでくれました。いい感じに、乾燥が進んだのでハーベスターを使って脱穀していきます。

乾燥具合の目安は、稲穂からお米をとって、殻を剥いて、歯で噛んでカリッといい音がしたら、OKです。

お米の脱穀は、手作業だと流石にスーパー大変なので、稲の脱穀に当たって、ハーベスターという機械をヤフオクで中古の機械を探して、購入してきました。ほんの2~3万程度^^

ハーベスターで脱穀されたお米。

機械を通すだけで、籾だけにしてくれるとても便利な機械です。

ハーベスターは、自給自足の強い味方なり♪

バインダー袋に入ったお米。

1年目のお米作りは全部で、これだけ収穫できました。

米袋に籾を移し替える。

籾のまま、米袋に詰め替えて、米庫で保管していきます。

もみ殻がついたままの状態なので、30キロ袋にいっぱい入れて、20キロくらいになります。ここから、さらに籾摺りしていくと、もみ殻が取れて、一袋で玄米が15キロくらいとなります。

なので、計算すると9袋半で、15キロ×9,5袋で142,5キロ。

初めてのお米作りは、こんな感じの穫れたかでした。一般的な農法と比べれば、笑われそうな量かもしれませんが、初めての無農薬、無化学肥料栽培としては、上出来でしょうか。

たった1キロの種もみがこんなに倍増したんだから、大成功でしょう♪

そもそも、有機農法と慣行農法では、比較できるはずもないし、 周りと比べるんでなく、種もみの量と比べてみよう(笑)

何はともあれ、自給自足要のお米をゲットできました^^

お勧めの本の紹介。

『5畝の田んぼで自給生活を楽しむ~手植え稲つくり』

手植えの田んぼを始めるに当たって、参考にさせてもらったのがこの本です。手植えのやり方や昔ながらの苗代の作り方などの詳細が載っている貴重な本です。今の時代中々、昔ながらのやり方をやっている人も少ないし、そういった書籍もほとんど発行されてない中、唯一見つけた参考書です^^

手植えだけでなく、基本的なお米の作り方も網羅されています。

著者の方は、ハーベスターも使わず最初の2年は足踏み脱穀機で脱穀されたというからすごい。小さな田んぼを作って、自給自足してみたいという方にお勧めの一冊です♪