沖縄本島1周ヒッチハイクの旅③~恩納村⇒本部町、備瀬のフクギ並木へ!!~
この旅は今から19年前の2003年、信州大学2年の夏を迎えた頃の話である。当時の歳は、21歳。一人旅。
旅のルートは、フェリーが付いた那覇港から沖縄本島の海岸線を時計回りにぐるっと1周回る計画だ。その際、公共の交通機関は一切使わずに、徒歩とヒッチハイクのみで、おこなうことに決めている。そして、泊まる所は、持参した一人用のテントを使っての野宿を基本とする。
この2つが、この旅の主なルールで、後は何も決めていない行き当たりばったりの旅であり、若かりし頃の馬鹿野郎の冒険旅である。
さあ、どうなることやら。まあ、何とかなるっしょ~(笑)
今回は、そんな沖縄旅の3日目の記録。当時の旅日記をもとにまとめてみました。事実は小説よりも奇なり。暇つぶしにでも、読んでいただけたら幸いです。
2003年7月16日~3日目~ありがとう公園
昨日は読谷村から恩納村まで進み、とある公園でテント泊したのであった。
朝4時半に目覚ましが鳴るが、外はまだ暗く、目覚ましを5時に設定しなおし、5時過ぎに起きた。
昨日から、身体の汚れが気になっていたので、朝から近くのコンビニへダッシュし、石鹸を買いに行った。昨晩あまり眠れなかったせいか、疲れがかなり溜まっているように感じた。
公園へ戻り、公園の水道を借りて、石鹸を使い頭と体を洗った。全身水を浴び、身体の汚れを取った。なんか公園で身体を洗い、1つたくましくなった気がした。昨日洗濯して干しておいた服やテントなど片付け、出発の準備をする。
そして、僕は考えた。何かこのお世話になった公園と子供達の思い出のために、何かできることはないか?と。
それで、公園のゴミ拾いをする事にした。ぐるりと1周見回ってゴミを拾い、公園を綺麗にした。そんな中、花壇にTシャツが一枚落ちていて、最初は捨てようかと思ったけど、広げてみると恩納のTシャツ。
裏には、何やら【STAFF】と書かれている。これは、欲しい。面白くね!?と、思い、洗って記念に持ち帰ることにした。
その後、朝の運動がてら、空手の基本稽古やシャドウをしたりした。MDウォークマンに小さなスピーカーをつなぎ、ハイロウズのミュージックをかけながら、気分は最高である。
♪子供のころから憧れてたものに なれなかったんなら 大人の振りすんな~
第一希望しか見えないぜ 不死身のエレキマ~ン♪
(THE HIGH-LOWSのアルバム、ロブスターの3曲目『不死身のエレキマン』)
さようなら公園。そして、子供達。近くのコンビニまで、ついでにゴミ拾いしながら進んだ。コンビニでゴミを捨て、また、海岸線の道を北上していく。
海岸線を歩いて進んでいると、一人の旅人?を発見。『何してるんですか~?』と声をかける。この日は、絶好調だ。
『友達の支度を待ってるんです~』と観光の人らしかった。
ヒッチハイク成功~水中展望塔へ~
しばらく歩き、今日は歩きながら、親指を上げる感じのヒッチハイク作戦を決行した。今日は30台目くらいで、かなりスムーズに、ゲットできた。
よっしゃー!!
しかも、スゴイいいおっちゃん♪
一通り会話をし、おっちゃんは沖縄サミットがあった所へ仕事で向かうようであった。なので、そこまで一緒に連れて行ってもらった。そこにある、海中展望塔への行き方も親切に教えてくれた。
おっちゃん、ありがと~^^
海中展望塔へは、バスに乗り(無料)、大きなホテルの施設みたいな感じの所だった。
海中展望塔1000円のチケットを買い、中に進む。中々綺麗だった。
そして、次に向かったのが、【かりゆしビーチ】。来た道を少し戻るが、歩いて進む。
かりゆしビーチに着くと、レスキュー隊が人を助けていて、マジか!?と驚いていたら、どうも救助訓練らしい。TVの取材とかが来ていて、救助訓練の様子を撮影しているようだった。
僕は、その様子を写真で撮った(笑)
この日は、朝からうまい事ヒッチハイクができたので、まだ時間も10時くらいで余裕しゃくしゃくと思い、海でひと泳ぎする事に決めた。綺麗な海で泳ぐと、自然と疲れは忘れてしまう。海は最高。
近くを散策すると、いんぶビーチキャンプ場というのを発見した。中々すごい名前だな。ちなみに大人一人600円くらいだったと思う。
ヒッチハイクに、大苦戦
またここから、先を目指して北上していこうと思う。海中展望塔から少し南に来た道を戻ったので、ヒッチで乗せてもらった区間をまた、ヒッチで通るのはなんだかカッコ悪いなと思ったので、さっき乗せてもらったホテルまでは、歩いて進んだ。
ホテルを通り過ぎ、しばらくすると広々とした大きな通りに出たので、そこでヒッチハイクの動作を開始した。
1台・2台・3台・4・・・・10台・・・50台・・・・100台・・・・200台・・・・・・・。車は一向に止まらず、スルーしていくばかり。甘くはなかった。
途中で、スケッチブック作戦を決行するも、あえなく失敗。全然止まる気配なく、途方に暮れた。。。
しょうがなく、歩いて進むことにした。(撃沈)
しばらく歩いたところ道端で見つけたのが、一軒のお弁当屋さん。
ここのお母さんが、綺麗で、面白い人だった。
『ヒッチハイクは、女の子だったら止めてくれるけど、男は中々止まんないよ~』って、聞くところによると最近は、あまりヒッチハイクする子もいないらしい。4年前くらいは、よくいたらしいが。。。
そんなこんな話をしていたら、なんと、そばを1つサービスしてくれた(涙)
めちゃいい人だった。ちょっと毒あり気な感じもしたけど、そこがまたよかった。とりあえず、笑った。楽しかった。店閉まるまで、食べてたら、『早く帰ってくれ~』って(爆)
お弁当屋のお母さんから、かなり元気をもらい、また先を目指して歩いていく。
しばらく歩くと、いつものごとく足が痛い。痛い。痛い。自動車道のインターを越えた辺りで、広くなった所があって、『ここで決めてやる!!』と、ヒッチハイクをする覚悟を決める。
目立つように路肩の上の方に登り、ヒッチハイクの合図をやるが中々、車は止まってくれなかった。
通りすがりの自転車のオジちゃんに『下に、降りてやったら?』と、アドバイスをしてもらい、素直に受け入れて実行すると、速攻で一台止まってくれた。
ゲットー!!よっしゃ!!
ヒッチハイクは、すぐ乗れるような状態でやった方が、確立が上がるようだ。
自転車のオジサンの神アドバイスに助けられたのであった。
今回乗せて頂いたのは、オジちゃんとオバちゃんの2人組だった。みんな本当にいい人なんだな~。この日はもうすでにクタクタだったので、本当ヒッチハイク出来て助かった。
名護市で降ろしてもらうとすぐ近くに公園があった。ここでは、子供達がおばあちゃん、おじいちゃん達と一緒にゲートボールをしていた。なんとも、いい光景だった。
21世紀公園だったかな?とりあえず、ここで少し休憩をとった。
かなり疲れは、溜まっていた。とゆうか、足が痛い。さあ、これからどうしようか?
現在の時刻は、午後の3時くらい。野営地を考えながら、地図を見て進む先を考えるのだが、1つの候補は屋我地ビーチキャンプ場。けど、ここを目指すと、海沿いのルートから大きく外れてしまう。やっぱり海沿いは、通りたいしな~。。。
できれば、あまり妥協はしたくない。
しばし考え、やっぱ海沿いっしょ。行くっきゃない。行ける所までいって、後はまあなんとかなるでしょ~。
2度目の逆ヒッチ!?~ジムニーのお姉さん~
そこから、また必死で歩き始めた。
道中あるコンビニの前で、座り休んでいるとあるお姉さんが声をかけてくれて、なんと、車に乗っけてってくれることになった。今は仕事中らしく、いったん用事をしてそれから、また来てくれるらしい。
ヤッターなんていい人なんだ。どうも、聞くところによると名護市でヒッチハイクしてる所を見かけていたらしくて、それで声をかけてくれたみたい。
そう考えるとあの何百台もスルーしてたヒッチハイクの時間も無駄ではなかったって事かもしれない。かなり時間差はあったけど、ヒッチハイク成功したのである。よっしゃ~!!
この辺りから、ヒッチハイクして乗せてもらうのに、何か自分にはできることないのかな~?と考え始めた。何か買ってあげるとか、かな~?とか色々と考えているとお姉さんが、ジムニーに乗ってやってきた。
『すみません。ありがとうございます。』と俺。
ジムニーに乗せてもらい『お仕事中ですか?』と尋ねると、
『うん』
『いいんですか?』と俺。
『私の仕事、アバウトだから』って(笑)
いいな~こういうの。話を伺うと、もともとは関東の方らしく沖縄でダイビングにはまって、それを仕事にするためにコッチに移ってきたんだとか。かっこいい。いいな~そういうの。
好きな事を仕事にして、暮らすカッコイイ大人だな~と思った。
また道中、沖縄のいい所もいっぱい教えてくれた。
本当は仕事の途中なのに、『ちょっと出かけてくる』って言ってきたらしい(笑)
備瀬のフクギ並木
お姉さんには、本部町の備瀬のフクギ並木という所に連れてきてもらった。ここもお勧めの所らしい。
そこに着くと、俺は『ありがとうございました~』ってそれだけで、お別れした。その後、そこでしばらく考え込んだ。こんなに親切にしていただいて、これで終わりなんてなんがだ寂しすぎる。
はい、連れてきました。ありがと~。ってそれじゃ、申し訳なさすぎる。連絡先も何も聞かなかった事に、すごい後悔した。絶対後で、お礼をしに行きたいなと思った。
この辺りから、ヒッチハイクさせてもらった方とできる限り連絡先を交換するようなっていった。
連れてきてもらった備瀬のフクギ並木は、自分の中で大ヒットだった!!なんだ、ここは。すごいいい所に連れてきてもらった。ほんと、あのお姉さんに感謝だ。
木々に囲まれた小道を進み、超いい感じ。ここがすごい気に入った。この空間を。
夏なのにほんのり涼しく、虫、自然がいっぱいで、なんかわからないけど、すごい心地よかった。
このような並木通りがあって、この両サイドに昔ながらの平屋の民家が建っている感じ。なんかタイムスリップしたような感じがあり、よく見かける普通の街並みとはかけ離れた異世界が、そこには広がっていた。
歩いて並木通りを散策していると、地元のあるオジサンに出会った。
『写真撮ってあげるよ~』って、オジサン。
そしたら今度は、『ここに泊めてあげるよ~』と急展開。空き家があるらしく、止まっていいよ~との事。
『マジっすか!!お願いします。』と俺。
その後、オジサンと海岸沿いに行き、話をした。そこで、たまたま居合わせた観光のオバちゃんとも知り合った。
備瀬のフクギ並木、セミの抜け殻や海岸の景色、とにかく見えるもの全てが最高だった。このオジサンはなんかすごい人で、元ボクサーであったりと格闘技で共通する部分もあって、色々と話をした。
海辺で、夕日が沈むのを見ながら、人生について深く語り合った。
その中でも印象に残っている言葉は『人の財産は、お金じゃなくて友達だ』と言っていたのが、とても心に響いた。
沖縄の心、琉球魂を持った人に会ったなと思った。
オジサンを探せ!!
夕食の約束をすると、オジサンは去っていった。オジサンがいなくなると、太陽の日はすぐに雲の中に隠れていった。
その後、実家に電話して、昨日荷物を送ったことを連絡した。そんなこんなしていたら、あっという間に辺りは暗くなってしまった。並木通りは、街灯も少なく、暗くてなんだか不気味。。。
それから、さっきのオジサンを探すことになるのだが、これが中々見つからず、途方に暮れた。(日記には、夕食の約束をしたと書かれているが、肝心の何時に?何処で?を聞いていなかったのだ。。。)
そんな中、並木通りを歩いていると、地元の人達が集まっている所があったので、入ってさっきのオジサンの事を説明して聞いてみるが、なんかすごく冷たくされて、急に怖くなった。
『そんな名前もしっかり聞いてない人と約束したらいかんわ。しっかり聞かな。』と地元民。
続いて、『そんな見ず知らずの人が、急に泊めてくれるなんて、そんないい話あるか?いっぺん怖い目に合うぞ!!』
そんな風に言われてしまい、さっきのオジサンの事を僕は、少し疑いの目で考え始めた。そういえば話してる事、すごいことが多かったし、騙されてたとか!?全部、嘘やったんかな!?
急に怖くなってしまった俺は、海岸沿いの方へ逃げ出してしまった。
いや、けど俺はオジサンとの話ですごい感動したし、すごいためになったと思ったし。。。いい話聞かせてもらって、夕日もすごい綺麗やったし、、、、俺は、オジサンを信じたいと思った。
ここで逃げたらいかん。ここまで来たら、行くしかない。ここは探すっきゃない。と、心に決めた。
それで、泊めてあげるといってくれた空き家の向かいの食堂で、話を聞いてみようと入ってみた。
そしたら、そこであのオジサンが晩飯を食べていた。俺は、オジサンの事を少し疑いながらも、一緒にご飯を頂いた。魚、もずく、玉ねぎ、タコ、煮豚などがあり、ご飯のお代わりもした。
今度はオジサンの名前をしっかり確認しておこう。今さらだけどお互いの自己紹介をした。ご飯も終わり、お代を払おうとすると『お代はいいよ。』と、ご馳走してくれた。
前の空き家に一緒に来てくれて、色々と親切に教えてくれた。そして、オジサンは三味線を弾いたりしながら、いろんな話をしてくれた。
ボクサーだった時の話や生き方についてや以前の仕事の話など色々と聞いた。まさしく、オジサンはカッコイイ琉球の男といった感じだった。
ウミガメの産卵!?夜の漁へ
そこで、オジサンとは一回別れ、風呂に入り、洗濯を終えて、日記を書いていると、またオジサンがやってきた。
『ウミガメの産卵が見れるかもしれないから見に行こうか?』ということで、2人で海にいく事になった。
オジサンの家に立ち寄って、モリを取ってから、海に向かった。砂浜に到着するが、子カメはもう出た後みたいだった。そうすると、オジサンは茂みから、急にゴザを取り出して、砂浜に敷き始めた。いきなり何処からかゴザが現れたからビックリした(笑)
砂浜にゴザを引き、少し寝る事に。自由だな~、沖縄のオジちゃん(笑)普段からこんな感じで、自分の好きなように動いて、暮らしているんだろうな。
オジサンは絵も描くそうだ。描いた絵は人にあげるそうだ。ここでも、お金じゃないんだと言っていた。
なんだか、気分良く、疲れなんかいつの間にか、忘れていた。話をしたり、焚火をしたりした。時々下ネタが飛び出てくるのも、自然児というか自由で愉快な方だなと思った。
潮が引くまで、少し仮眠をし、そこから夜中の海に探検(漁)に行くことになった。
オジサンはそこら辺に捨てられているビニール袋を見つけ、貝を捕まえたり、カニをモリでついたりして、袋に入れていった。途中、ウニを捕まえて、その場で食べた。
ナマコがいて、ハリセンボンがいて、ここでは幻想的な世界が広がっていた。
すごいいい経験をさせてもらったと思う。お金を払っていくツアーなんかよりよっぽど、貴重な体験かもしれない。これも、あのお姉さんがフクギ並木に連れてきてくれなかったら、なかったであろう出来事だと思うとなんだか不思議な感じがした。
道中、必死になりながらも突き進み、『妥協せずに突き進めば、ミラクルが起こる』と、どこかで聞いたことがあったけど、まさにそんなミラクルが起こったのかなと思った。そして、オジサンを信じて良かったなと思った。
海を進み、灯台を越えた辺りから、網を仕掛けてある所に向かった。これは、潮が引くと網に魚がかかるという仕掛けだそうだ。小さなキンメダイがかかっていたが、逃げられてしまった。
最後の方で、『ウナギや!!』とオジサンはモリで一突き。大きなウツボを仕留めたのであった。
ここぞという時は、一発で仕留める。さすがは、海の男。
大きなウツボに、大感動だった。モリにウツボを刺しながら、歩くオジサンの背中は忘れられない。男だった。
途中『風が変わった。』とか、自分は何も気にしてなかったところに、軽く気づいたりするのも海の男やと思った。
そんなこんなでその後は、砂浜で、夜が明けるまで寝たのであった。
3日目のまとめ
本日の移動・・・恩納村⇒本部町備瀬
移動距離・・・約50km
ヒッチハイク・・・3台
3日目の今日からは本格的にヒッチハイクにチャレンジした。1台目はすんなり捕まえるも2台目から、かなりの大苦戦。。。3台目は、コンビニ休憩してた所、奇跡的に声をかけていただきヒッチハイクする事ができた。乗せて頂いた皆様には、本当に感謝である。
そんなこんなでたどり着いた備瀬のフクギ並木がとっても素敵な所だった。沖縄の旅の中でも、一番印象に残っているのが、この備瀬のフクギ並木かもしれない。またそこで出会ったオジサンとの出来事が、アドベンチャーだった。
今回の旅は、公共交通機関を一切使わずに、歩きとヒッチハイクのみで、沖縄本島を海岸線に時計回りに1周するというもの。宿泊も公共の施設を使わずに、基本テント泊しながら、周る予定だ。
特別どこを観光するという訳でもなく、朝起きたら、ただひたすら海岸線沿いに歩きとヒッチハイクで進めるだけ進んで、暗くなったら適当な所を見つけて、テント泊するという超シンプルな行き当たりばったりの旅。
旅はまだ3日目が、終わったばかり。果たして、この先どうなることやら?
沖縄本島1周、さすらいの馬鹿野郎の冒険旅は、まだまだ続く。
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